マーケティングでの資産 & ダイナミック・ケイパビリティ戦略
★★ マーケティングでの資産 ★★
御社に独自資産はあるでしょうか。
巡回監査でお話ししている財務諸表上の資産ではなく、
今回はマーケティングでの資産を考えてみましょう。
企業の強みを支えるもの、それが独自資産です。
特に他社よりすぐれた価値や希少性、模倣困難性や組織的仕組みこそが
御社が本当に持っている資産です。
どういうものが思いつくでしょうか。
ロケーション、生産工程、人脈、ブランド、社員、ノウハウ、etc…
これらが他社より優位であれば御社独自の資産ということができるでしょう。
例えば、任天堂は先日海外ファンドから買い増しが入りました。
任天堂の持つ「マリオ」などの知的財産のポテンシャルが評価されてのことです。
「マリオ」などのキャラクターはディズニーにも匹敵すると評価されており、
まさに任天堂独自の資産であると言えます。
このようにマーケティングでの資産は、企業が持つ人材・能力・スキル・ノウハウを
まとめたものになります。
ぜひ御社の「資産」を今一度見直し、最大限活用できているか振り返りましょう。
もしかすると眠っている大きな「資産」があるかもしれません。
★★ ダイナミック・ケイパビリティ ★★
今回ご紹介する戦略は、「ダイナミック・ケイパビリティ」です。
「ダイナミック・ケイパビリティ」戦略とは、
「環境変化に対応するために、組織内外の経営資源を再結合・再構成する経営者や
組織の能力」と説明されています。
富士フィルムを例に、この戦略をお伝えしようと思います。
かつて写真フィルムは、その高度な技術ゆえに世界で4社しか製造できなかった
商品で、アメリカのコダック、ドイツのアグファ、日本の富士フイルム、コニカ4社の
寡占市場でした。
しかし2000年頃、デジタルカメラの普及により写真フィルム市場は一変してしまいます。
富士フィルムは事業の多角化によって生き残りを図りましたが、
コダックは、環境変化に適応できず2012年に経営破綻を余儀なくされました。
コダックと富士フィルムの命運を分けたのは、共に持っていた写真フィルムに関する高度な
技術や知識を再構成・再利用できたか、否かということです。
まさしく、「ダイナミック・ケイパビリティ」戦略の差であります。
富士フィルムは、写真フィルム需要の変化に伴う脅威を感じとり、企業の生き残りをかけて
技術の棚卸しを行いました。
自社の強みである高度な写真フィルム技術を整理・再構築し、写真フィルム技術と親和性の
高い化粧品事業・医薬品事業・再生医療事業への進出をしました。
例えば、写真の色あせを防ぐ抗酸化技術は、紫外線などのダメージから肌の老化を予防する
化粧品の開発に応用されました。
富士フィルムのアンチエイジング化粧品「アスタリフト」はこの技術を活かして生まれた
ものです。
新規参入事業でありながら、発売4年目で売上高100億円を突破し、今ではアンチエイジング
分野でトップ10にランクインするほどの躍進ぶりを見せています。
現在、すべての業界において外部環境の変化のスピードが速く、危機的状況に陥ることのない
企業はありません。
激変する経営環境の中で、新たな環境変化に適応できるかどうかが
企業が生き残れるかどうかの可否を決めると言っても過言ではありません。
皆様方の会社も、一度自社の内部資源を分析し、今後の外部環境の変化を見据えたうえで、
ピンチをチャンスに変えるような新たな強みを検討されてはいかがでしょうか?
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