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さくら経営ニュース

[No.364]「人を伸ばす力」について

中秋の名月と共に季節の入れ替わりを感じている鈴木です。
さて今回は、「人を伸ばす力」に関してです。

「報酬はやる気を高める」と多くの人が思っています。
かくいう私も、様々な経営者の方から同様のご相談をいただきます。
只、実際には従業員を報酬で評価してもうまくいなかない事も多々あります。

チェスター大学の心理学の教授である心理学者デシがある常識を覆しました。

オットセイの曲芸は、
腹ペコのオットセイが飼育係が持つ餌を目当てに観客が喜ぶことをします。
しかし、ご褒美の魚が貰えないと何もしなくなります。
動機付け理論ではこれを「外発的動機付け」と呼ぶそうです。
ご褒美が貰えなくなると外発的動機付けは消えますが、
経営者としてはご褒美が無くとも行動をして欲しいと考えます。

サルの檻にパズルを入れた実験を別の心理学者が行いました。
サルにはご褒美という報酬を与えていないのにかかわらず熱心に楽しそうにパズル解きに
取り組んだそうです。
この現象を「内発的動機付け」と呼びますが、
要は「自ら学び、やる意欲」の事です。

また、別の実験では、「報酬・脅し・競争」が内発的動機付けを弱めるという結果も
出たそうです。

我々中小企業は成果や結果を出す為、
とかく従業員に対し「管理・統制」を行う事を考えますが、
この考え方が悪循環を生んでいるかもしれません。

もともと日本企業は、
社員の内発的動機付けを重視していましたが、
バブル崩壊後成果主義の導入によりこと細かに社員を統制する傾向が強くなっています。

大企業であるトヨタは、
年功序列型の賃金体制から人事評価を全面的に反映させる新たな定期昇給制度を導入すると
発表しました。

どのような評価制度となるかは詳細が未だ解りませんが、
「成果・結果」ではなく「人事評価」に重点を置いている事が私は気になりました。

若しかすると、「成果・結果」主義とは違う評価制度を導入する事で、
定着率や生産性の向上を考えているのかもしれません。

激変の時代に向け、
あらためて自社の評価制度を見直しても良いかもしれません。

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